2009年2月 2日 月曜日
こんな形で彼が帰ってくるだなんて、だれが想像できただろうか。
岩村学は、90年代にミラノを中心に活動していた日本人DJ/作曲家。1st Album「わたしの考えるジャズ」, 2nd Album「テオレマ」という、芸術的な作品を残したっきり、ぱったり消息を絶ってしまった。
過去の岩村学の音は、例えれば「黒」。朗読、ジャズ、ラウンジ、ラテン、オーケストラなどをサンプリングやコラージュの手法でアブストラクトに再構築し、重く、ほろ苦い、映画のような独創的な世界をそこに作り上げる。混沌・雑然さがひとつの束となって、どこかへ向うような陰のエネルギー。シュールとシリアスを紙一重で突き抜ける、内向でストイックで危ういバランスの美しさ。そして、音色に対する徹底的なこだわりが、彼の美感だった。
新しい岩村学は「白」。しかも「真っ白」。まるで、今までが過去を捨てたかのように、表を向いた王道のダンスミュージック。しかし、ストリングスの使い方などには相変わらず岩村らしさが見られるし、独自の美意識への徹底したこだわりは変わらない。実は、近年はファッションショーの音楽を担当したりして活躍しているらしく、大人になって毒が抜けたとも、商業的になったとも解釈できるけれど、なにより再び彼の作品に出会えてうれしいものです。
ちなみに、生涯のベストアルバムを10選べと言われたら、僕は迷わず前作「テオレマ」をそのうちの1つに数える。もし少しでも興味があるなら、感性が鈍る前にあなたは「テオレマ」を体験しておくべきだ。
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