2010年5月30日 日曜日
劇団四季のミュージカル「春のめざめ」を汐留の自由劇場で観てきました。ブロードウェイ版で第61回トニー賞を受賞している名作です。千秋楽が近いこともあって、スタンディングオベーションの嵐でしたねぇ。
舞台は19世紀末のドイツ。保守的な社会のなか、思春期の少年少女たちの自立や性の目覚め、そして、大人との確執や無知による悲劇を描いた作品。19世紀末に初演されながらも、時代がその内容を受け入れることができず、上映禁止のまま100年近く封印されていたといういわくつきの作品でもあります。
2009年の日本初演を見逃してしまったため、2010年の再演を是非観ようと思っていたところ、5月末で東京公演終了というのを知って慌ててチケットを取りました。
話の筋は、社会を維持し既得権を守るために既成概念を重視して若者へ継承しようとする大人と、まだ白紙であるがゆえ、しがらみや常識に縛られることなく本質を再定義しようとする純粋で無知な等身大の若者たちの対立。いつの時代にもある構図です。
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このミュージカルは、性に対する包み隠さない描写や、バンドサウンドに乗せた感情表現がセンセーショナルです。劇団四季といえば、優しくて幅広い層に向いているイメージが強いですが、この作品は結構とがっていますね。若い人に是非見て欲しいです。
ただ、エンディングが少し脳天気かな。もう少し観客に課題提起して、社会劇としての重みを与えても良かったと思います。どうやらブロードウェイ版と歌詞解釈が若干違うようですね。
セットは最初から最後まで1つで入れ替えはありませんが、舞台美術が美しく、バンド演奏がよく見えるのでとてもライブ感があります。また、ステージシートといって、舞台上の両サイドに観客席があるのが特徴的です。役者と同じ目線で物語に参加できるのが特徴で希望すれば誰でも購入出来ますが、上演中は入退場できませんし、目立つ白色系の服を着てはいけないなどの制約があります。本当に好きな人のためのシートですね。私は普通のシートで...。
ところで、このミュージカルを観て、谷村志穂さんの「十四歳のエンゲージ」という青春小説を思い出しました。テーマが少し似ているんですよね。

人は大人になるにつれ青臭いものや未熟なものを嫌い、自分にそんな時代があったことを忘れようとします。あなたも私もそうです。だから、こういう感受性は若いうちに尖らせておかなくてはいけません。そして、大人になってからは、これらの作品を鏡にして自分の視点がどのように移ろったかを確かめるのです。
最後に1点。この作品のキャストの演技力は、他の劇団四季の作品に比べると荒削りです。完成度が低いとみる人もいるかも知れませんが、キャスト自身が成長中で不安定な若手であり、登場人物たちとシンクロした天然ものなんでしょう。まさにライブ。これはベテランでは成立しない演出だと思います。登竜門として劇団四季にとっても必要でしょ。こういうの。
8月11日からは名古屋公演がはじまるそうなので、西日本の方はまだこれからですね。是非どうぞ。
- 関連リンク -
・劇団四季 作品紹介「春のめざめ」
・劇団四季 JR東日本アートセンター 自由劇場
・劇団四季 「春のめざめ」ステージシートのすすめ
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